2020年3月9日の落書き

自分が高校を卒業した時、大学を卒業した時、留学のプログラムを修了した時、働いていた会社を退職した時、読みたかったこと、知りたかったことはなんだろうか。

そんなことを考えていたら、
去年、大学を卒業した子にこの時期に尋ねられた質問をふと思い出した。

「社会人になる前に、やっておくべきことって何かありますか?」

そんなことを尋ねられた。これだけだったら、不安ならこれをやっておいたら?とか言えただろうが、その子はこう付け加えた。

「やりたいことって、別に社会人になってもやれるしなぁと思って」

あぁそうか。
この人は、不安で聞いたんじゃなく、本当に何か自分じゃ思いつかないことを、僕は知っていたりするんじゃないかと思って聞いたんだと、試されているような、それでいて嬉しい気分に勝手になった。

高校を卒業して、社会人になるにしても大学生になるにしても、
大学を卒業して社会人になるにしても大学院生や留学生になるにしても、
今までの環境から、
次の新しい環境に入っていくまでの束の間を、どう過ごすか。
それまでの毎日から、新しい毎日までの道すがらを、どう過ごすか。

とても大事なように思える束の間、道すがら。
けれどもその束の間でできるようなことは、新しい毎日が始まった後にだって、きっと実はできてしまうぞ、と僕もその人と同じように思った。

いきたいところへはいけるし、
みたいものもきっとみれるし、
できなかったことも、しっかり努力すればできるようになっていく。

それまでと、きっと特には何も変わらない。
というかむしろ大学生の方が社会人の方が、お金を稼げるし自由度も上がるだろうから、行きたいところなんて特に、きっともっとずっと遠くまでいける。

だから、その束の間に、束の間だからこそやるべきこと、
なんてのは特にないと思うのです。

いつだって、やりたいことを、やったらいいよ。
いきたいところへ、いったらいいし、みたいものを、みにいったらいいのだ。

そんな大前提を踏まえても、
何かを卒業した時の自分へ、
そして今まさに何かを卒業し、次のはじまりとの間にいる誰かへ届いたらいいなと思うことを、少し前に僕は見つけた。
それは冒頭で書いた、去年尋ねられた質問への僕なりの回答でもあった。

それは、
「これから君は、とっても変わっていくんだぞ」ということ。
そして、だからこそ、「今の自分が、いろんなことを、どう思っているのか、感じているのか、考えているのかを、どこかに書き残すといいよ」ということ。

今の自分のマイブームから、好きな食べ物、聴いている音楽、好きな本に漫画とか、そして今の自分が考えていることや思っていること。
できるだけ、目一杯の今の自分を書いてあげたなら、そしていつか見返す時が来たならば、それってきっと、一度しかない人生の中で、とても素敵な宝物になるんじゃないか。

そしてこればっかりは、新しい毎日の中で同じことをしても、
きっと内容が変わる。だって環境が、自分が、変わっていくわけですから。

環境が変わるということは、自分が変わっていくということ。
それはつまり、もう「今の自分」には、会えないということ。
あ、ほら、そんなこと言ってたらもう「さっきの自分」になっちゃった。

さぁ、すべての、卒業する人へ、君へ、あなたへ、
ご卒業おめでとうございます。
これからどこにいくにしても、何をするにしても、
ぜひ、その時、まさにその時、どう思ったかを大切に生きていってください。
そしてできれば、その「今の自分」を、どこかに書いてとっておいてあげて下さい。それがやがて、唯一無二の宝になるだろうから。

それでは、
すべての卒業と、束の間と、そして新しい毎日に、幸多からんことを!
自由丁より、全身全霊の願いを込めて。

2020年3月9日、
東京・蔵前「自由丁」オーナー小山

追伸、
卒業したからといって、
いきなり何かが急に上手くなるわけではないし、
新しい必殺技を使えるようになるわけでもない。
けれども卒業までに費やした時間で得たすべてのものを抱えて、僕らはちゃんと、生きていける。変わっていける。変えていけるんだ。