Chace's Pancake Corral チェイシーズパンケーキコーラル

連載「エメラルドシティにまたね」- 旅する詩人 アメリカ西海岸シアトル

Chace's Pancake Corral チェイシーズパンケーキコーラル

「ここでいいかい?」
「あー、奥の方の席へ行ってもいい?」
「もちろん!好きな席を選んでいいよ!」


荷物を椅子に置く。「Good Morning, my name is Sara, 今日は私が担当するね。よろしく!コーヒーはいかが?あとお水もいる?」。明るく優しい声が、きっと友人に語りかける時とさして変わらないだろうトーンで尋ねる。

席につき、メニューを眺める。ここで見つけ、魅了され、以来僕の朝食メニューランキング不動の一位、エッグベネディクトの文字を見つけてニヤリ。

僕の表情を見つけたSaraが伝票と共に戻って来る。「Are you ready??」「Yeahh」。

「This one, Egg Benedict please」
「With 〜 or hashed potato?」
「hashed potato」
「Good choice!」

ハッシュドポテトが好きだから、ここでポテトの調理方法を尋ねられるとハッシュドポテト以外の選択肢が毎回まったく耳に入ってこないことを思い出す。

老夫婦が手を繋いで入店する姿を眺める。笑顔でスタッフと挨拶を交わす。ゆっくりと席に着く。朝日が店内を照らす。席を片す従業員の手元に思わず見惚れる。

「コーヒー美味しいね、どこの?」とおかわりのコーヒーを注ぎに来てくれたスタッフに尋ねる。「美味しいよね。ファーメルブロってとこから卸してもらってるよ」「そうなんだ、コーヒー豆買えるか調べてみよっかな」「いいね」。

音楽もラジオも流れていない。スタッフとの会話、珈琲豆の挽かれる音色、食器たちのアンサンブル、食卓を囲む夫婦の声、友人たちの語らい。それらに委ねられた雰囲気が当然のように似合う店内。人によって生まれ続ける居心地の良さ。

あっという間にエッグベネディクトを食べ終わり、もう何回注いでもらったかもわからないコーヒーを一口飲む。バスの時間を調べる。

もっと頻繁に通えたらいいのになとふと思う自分も勿論いるけれど、とても長い時間をかけて、緩やかに通い続けるお店があるというのもまた、いいものだなと思う。

レジへ向かう。会計をしていると今日言葉を交わしたスタッフ一人ひとりが「Thanks for coming」と微笑む。厨房のオッチャンとも目が合う。微笑む。

「調べたら、コーヒー豆買えそうだったよ」とさっきのスタッフが近くに来たので伝える。「わお、じゃあ俺も買おっかな!家でも飲みたいし」と笑顔。

Chace's Pancake Corral
1606 Bellevue Way SE, Bellevue, WA 98004 

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自由丁の読みもの

宛先は、わたし - 未来の自分へ送る手紙のように綴り贈る日々の言葉詩人・自由丁オーナー小山将平が、未来の自分へ送るように、日々の気配を綴る手紙のような、詩的な言葉たちを日本語と英語にてお届けする連載「宛先は、わたし」。ポストカードに綴られた詩が届く郵便箱みたいな場所になったら。 最新: 旅先になりなさい / 2026.07.08 月刊自由丁便り月に一度、月末に配信している自由丁のニュースレター。自由丁・封灯店長の山本が、その月のおすすめの詩や、翌月のイベント情報、クスッと笑える自由丁での一コマなどを楽しくお知らせします。 最新: 愛おしき、わけのわからない話たち/月刊自由丁便り vol.66 / 2026.07.03 詩考自由丁オーナー小山の日々の思いつき、思い至り。詩的なもの、理路整然としたもの、支離滅裂なもの。世界中の人々が青い鳥に呟いていた頃が懐かしい。 最新: 05232025 / 2026.06.27 LETTERS VIA HAWAII - 写真と言葉の往復書簡ホノルル在住のフォトグラファー・Momokaから届く写真に、蔵前から詩人・小山が詩で返信を綴る往復書簡。景色と言葉が行き来する、ハワイと東京の、写真家と詩人からの暮らしの知らせ。 最新: 銀の指輪 / 2026.04.18 オーナー小山が日々書く詩やエッセイ『今朝の落書き』東京・蔵前にお店を構える、未来の手紙カルチャーブランド『自由丁』オーナー小山が書く詩やエッセイ。他愛もなく暖かい、何の役に立つわけではないかもしれないけれど、一息ついたりクスッと笑ったり、「なるほどなぁ」とか「なんでやねん」とか、自由に素直に自分の気持ちが芽生えるきっかけになってくれたらいいなと思って、書いてます。 最新: 2025-7-29 / 2025.07.29