母の日感謝編 第四篇

台所の音色

ヤカンの中でお湯が沸く音を聴きながら、
珈琲豆の香りと共に考え事をする。

親しい人に、
愛しい人に、
言われた台詞を思い出す。

電気ケトルでお湯を沸かすと、何故だろうこの時間は無いものなのだよなぁと思う。

音だろうか。音だろうな。
ヤカンでお湯を沸かすと音がする。

フツフツフツと始めは小さく、段々とコツコツコツとヤカンが揺れてコンロに当たり、やがて沸騰し出した水の音が聴こえる。

お湯を沸かすという事だけを考えたなら、この音は要らないだろうし、わざわざ再現するために頑張る技術者も、なかなか居ないだろうというのは容易に察しがつく。

確かに電気ケトルでも、お湯が沸く音は近くにいれば聴こえるけれど、ヤカンのそれとはやっぱり何かが違うと思えてならない。

なんだろうか。
音だろうか。音だろうなぁ。

本日も落書きを読んで下さりありがとうございます。ヤカンと水と熱気の奏でる音色に合わせて今日も、束の間の安らぎに浸った話。