風が波になった
陽が暖めた空気が吹かせた
夜の冷えた暗がりが招き入れた
波に揺られた私も浜辺を少し水に浸す
風に乗り飛ぶ私も大気を少しあちらへ押しやる
夕焼けが巡り朝日になる束の間
私たちはほんの少し進化する
生命を含んだ自然に加担する
浜辺に寝転がれば青空が私を包む
路上でだってそうだったはずだ
校舎の屋上でだってそうだったはずだ
つまるところ思考など
波に自ずと慣れ切る身体の賢さに比べれば
ふいに生まれる言葉と言葉の美しさに比べれば
風に吹かれたならば飛んでいく
陽に照らされたならどうでもよくなる
数多の類いさ
大空に抱かれ安らいだ私だけなら
言葉などいらなかった
大海に抱...