今朝の落書き

オーナー小山が日々書く詩やエッセイ
考え事、悩み事の言葉たち

詩的であれ

あなたの言葉の所在地は
あなたの中のどこか一点ではなく
あなたの歩いてきた道すがらの光景すべて

靴底をすり減らし
新しかった服をよごし
古くなった鞄をそれでも抱えて
眠気に襲われたまぶたをこすり
歩いてきたすべて

宿る景色のとぼしい言葉は
ただ意味だけを乗せた風
肌をなでた刹那にさようなら

取り合うこともできないまま
ただ髪をなびかせるだけ

覚えることもできないまま
今頃どこかで違う誰かの声に乗りまた
軽く吹く

あなたの言葉から故郷が響くとき
辞書など引く必要もなく
読書の数など競うこともせず
踏みしめた土の感触が伝わる
降った雨の匂いが届く
私はあなたの旅路を垣間見る

獣道を知らない文字は言葉にはならず
自らの額から流れた汗を含まぬ記号は記号のまま地に還る

言葉は人に依り
私はそれに苦しみ
また救われる

言葉は人を映し
あなたはそれに揺らめき
時折嘆く

言葉は人を育て
私はそれに驚かされ
また前を向く

詩的であれ

私に教えた人の顔に刻まれた
一つひとつの日差しのように
私の頬に染み込んでいった
あれは確かに言葉だった

本日も読んで下さりありがとうございます。詩とは、自分が書くものというよりは、他人が読むものだということ。そういう意味でもやっぱり、詩的でありたいものだと思う。

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