梅雨の言葉祭
梅雨について、何かを書いてほしいと言われたときに、「もう結構書いてるしなぁ」なんて思ってしまったことを、今更ながらに申し訳なく思う。
その気持ちを頭の中に置いたまま眠ったからか、夢の中で梅雨についてのことを書く自分がいて、あーでもないこーでもないと考えていた。
夢の中の自分は、なかなかに(自分で言うのもなんだが)下手っぴで、書き始めたはいいものの、なんだか上手くまとまらなくて、結局書き終えることができなかった。
目覚めてからも暫くの間、夢の中での気持ちを引きずっていたからか、少し書き出しを考えていて、好きなものをいくつか見つけた。
「シアトルという街がある。その街では年中雨が降っていて、だからこそ時折出会う晴れ間が、雨で青々と育った木々を照らして、とても美しく見えたりもする。」
「梅雨が好きだという人に、僕はまだ出会ったことが無いけれど、もしも出会うときが来たならば、聞いてみたい。お気に入りの傘の色は、雨の日に履きたい靴は、行きたい場所は。梅雨になったら聴きたい曲も、あるのなら聞いてみたい。」
書き出しは、船出みたいなものだと思う。
書きはじめの言葉たちと、書き終わりの言葉たちでは、同じ言葉なのにまるで違う気持ちになる。読むときも書くときも。
書き始めるきっかけになる言葉たちは、いうなれば船だろうか。
梅雨という名の船に乗り、できるならその船を言葉をくれた人と一緒に船出できたら、してみたら、それもまた楽しかっただろうなと、雨の日の中、思っている。
本日も落書きを読んで下さりありがとうございます。来年の梅雨は、「梅雨の言葉祭」とかやるのはどうかな。会期は、梅雨入りから梅雨明けまで。梅雨にまつわる言葉を集めて、てるてる坊主にカラフルな傘、レインコートにポンチョを纏って、過ごすお祭り。楽しそうだ。
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