小声でアウフヘーベン
僕の文章なり作品なりを読んで下さっている方にはなんとなく伝わっているかもしれないが、僕は二者択一、二項対立の構図のものがなかなかに苦手だ。AかBか、選べない。というかどっちもなんだけどな、と思うことが多い。
わからない、という言葉も割とよく使う気がする。けれど後ろ向きな意味ではなくて、むしろ前向きな意味で、わかりたい、知りたい、そして決めたい、という意思と共に使っているつもりだ。
今まさに作っている新店舗も、どっちつかず、みたいなところが多分に含まれたイメージで作っている節があるように思う。もちろん壁の色やら間取りやら、家具の雰囲気やらメニューやらは一貫した方向性のもと決めて作るわけだけど、その方向性自体を、わかりずらさ、とか、どっちつかず、間、のようなもの。二項対立を否定しうるものにしたいという気分と共に作っている。
そういう意味では、僕は常に、二項対立に対して対立しており、ある意味非常に二項対立的で、二者択一的な頑固者なのだとも言えるかもしれない。
そう思うと、白か黒かだけじゃないよね物事、と主張する人も、白か黒かだろう、と主張する人も、互いに実は似た者同士で、いつの日か歩み寄れる気もしてくる。そして本当にいつの日か歩み寄れたなら、その時には、二項対立ではなく、二項共存の故の何かまだ見ぬ新境地に、僕らは至れたりもするんだろうか。
本日も落書きを読んで下さりありがとうございます。そんなときが訪れたなら、小さな声で、独り言みたいに、優しく、アウフヘーベン、と呟いてみたい。
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