読書する短文
午前一時を前に布団に入る。
まだ眠気は訪れていないなと気付き、枕元の小さな明かりをつける。
昨日の続き、と言っても何冊もある読みかけの本たちのどれを読もうか一瞬悩み、そのうちの一つを手に取り開く。
断片的な言葉たちが美しく、分かり切ることを許さない短さで書かれた各章を読み進める。ああいつか僕もこんな、分からない、それでいて美しいものを書きたいものだと憧れながら。
夜の、布団に入ってからの、世界の誰もが語りかけることのない、静まり返った自分の中。本のページをめくる音が小さく響く。この時間が好きだ。
寝る前に本を読むのは睡眠の質を下げるといつか見たテレビで科学者が言っていたけれど、そんなことを伝えられたところで、自然と無性にどうしようもなくそれを行う人々にとっては、科学の進歩で解き明かされた真実なんて何の意味も力も持ち得ない。
好きこそものの上手なれ。
好きこそ人の哀れなり。
枕元の明かりは優しい橙色がよい。
本日も読んでくださり有り難うございます。一日家に居たのに、こうも布団の中が楽しいとは。困ったものです。心身共に重くて仕方がなかった先日のこと。
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