波打ち際の人々
景色でも、人でも、アートでも、音楽でも漫画でも、本でも、気候でも、とても響くと、身体というか心というか、私自身が揺れたような心地になる。或いは別の言い方をすると、何かを受け取った心地になる。
人はそれを例えば刺激とかいうけれど、その正体を私は「揺れ」なのではないかと思っている。
風が吹けば木々が揺れ葉を落とすように、私も風を受けて揺れ、揺れたが故に影響を受け、変容し、何かを落とす。
それは私にとっては、詩の時もあれば、アイディアのこともあれば、行動に至る勇気のこともある。
それは必ずしも幸運とも限らないことも、知っている。変化は、常にフラットなもの。幸も不幸も変化には付いていない。
何かによって揺れた私の幸不幸に、揺らしたものは関与せず、ただまた別の誰かを揺らす。
多くの人が大きく揺れるほどの作品を、人は名作、名著、絶景というのだろう。
けれど揺れた側の私たちは、各々様々なことを思い、或いは多くの人は幸せだと感じる中で数人が、何かを新たに世に落とす。
そしてある時、落ちた何かを誰かが見つけ、受け取り、揺れる。
その数多の共振の中に私たちは今日住まう。故に私たちは遥か彼方、初めて誰かを揺らした光景なのか行動なのか、或いは勇気から始まった歴史の果ての波打ち際にいるのだとも言える。
受けた波に背を向け、私もまた波に与するように揺れ、何かを生み出し、波打ち際にいずれ訪れる誰かを揺らす。その時、私は大きな波に混ざり、海の心地を確かめながら、自らも揺れているのかもしれない。
本日も、読んで下さりありがとうございます。強い風に吹かれて、ハッとして、書き始める。僕はそれこそよく揺れているのだと思う。
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