心動いた、忘れたくないことがあったあなたへ

ここに在る景色

しばらくして、車窓から朝焼けの空と東京の景色が目に入ってくる。
そこでなぜかふと、ひとりで宛てもなく旅した頃を思い出して、あの時の僕は実は寂しかったのかもしれないなぁと思ったりする。

こんな風に、
別にその当時は思ってもいないし、全く苦しくも切なくもなかったのに、時間が経ってからある時ふと思い出して、当時の僕の自覚していなかった感情や感覚に出会うことがある。

もうとっくの昔に過ぎ去っていった、遠いところにあるその過去、時間を思い出して、当時とは全く違う感情、感覚を味わったり、発見したり。

それは今の僕が、当時の僕と同様の体験を今したら思うことなのかもしれないし、もしくは本当に、その時は気付いていなかったけれど、実は思っていた感じていたことなのかもしれない。

何れにせよ、もう僕の前にあの朝焼けはないし、ひとり旅した街並みへとまたすぐ訪れることも叶わない。

けれど、今になってようやく出会えた感情たちや、「またね」と告げることのできる誰かと共に、その記憶は、景色はここに確かに在るんじゃないかとも、思う。

本日も読んでくださりありがとうございます。
そうやって、いろんな記憶が、景色が何重にも折り重なった、今このひと時の僕であり、あなたであるということ。

- 2020年08月18日「今朝の落書き」より

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■こちらのエッセイは、未来へ送れる手紙「TOMOSHIBI LETTER」の「少し立ち止まって、自分の気持ちを整えたい時」のシーンを選んで頂いた方のレターセットに含まれる一篇です。

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