少し立ち止まって、気持ちを整えたいあなたへ

世界に吹いて


優しい風になりましょう
人混みで立ち止まり
街角で天を仰ぎ
まぶたを閉じて世界を一旦止めましょう

大きな声も
わざとらしい笑顔もいらない
たった一人の心音を確かめましょう

鳥の羽ばたき 他人の足音 影 街灯
呼吸 肌 皺 温もり 私
犬の声 猫の行方 窓の反射

今ここでさえ万物ですから
すべてを汲んで運ぶわけにもいきませんから
なるべく優しく
なるべく緩く
清々しく吹く風に倣って
吹きましょう

この旅の行方がわからないなら
なるべく静かに流れる雲のような背
ついていくのも一案です

時折甘い香りに誘われ
片手に何かを頬張りながら

美味しい匂いに導かれ
思わぬ時間を費やしながら

優しい風になりましょう
路地裏に注いだ光を撫でるように
深く軽く息をして
世界を束の間やわらかく
私のものにし過ごすように
包むように
優しい風になりましょう

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■こちらのエッセイは、未来へ送れる手紙「TOMOSHIBI LETTER」の「少し立ち止まって、気持ちを整えたい時」のシーンを選んで頂いた方のレターセットに含まれる一篇です。

他のシーンに含まれるエッセイも読んでみたい方は、以下からどうぞ。
- 夢に向かって、進んでいる時
…「遥か私

- 誕生日や記念日など、節目の日を迎える時
…「Memories Embrace

- やりたいことを、探している時
…「宝探しの詩

- 心動いた、忘れたくないことがあった時
…「無限-we're infinite

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