詩人・自由丁オーナー小山将平が、未来の自分へ送るように、日々の気配を手紙に綴るように、詩的な言葉たちを日本語と英語にてお届けする連載「宛先は、わたし」。ポストカードに綴られた詩が届く郵便箱みたいな場所になったら。

思い出を収める言葉と思い出になる言葉

思い出を収める言葉と思い出になる言葉

友達と「たのしみだね」って今月の予定のことを夜な夜なお喋りする。気づけば零時をまわっていた。好きなバンドの新しいアルバムがリリースされて、聴き始めたら止まらない。深夜の高揚。興奮しながらそのまま、書き途中だった詩を書いた。幸せについてだった。


有り難いことに、加速していく日々。積み重なっていく信頼と信用と、期待。駆け抜けながら、楽しかったことを必死に写真に収める。言葉に収める。けれどそれらは収めたっきり、陽の目を浴びることなく僕の片隅に積まれていく。その事実を思い出して時々少し悲しくなる。


幸せな悩みだなと思う。

日々は色とりどりに美しく、楽しく、喜怒哀楽に富んでいる。その残像、余韻としての写真や言葉たちをかろうじて残していくという幸い。


その中でも時折、今このとき、駆け抜けていく自分自身と共に言葉が走っているかのような感覚になることがある。その時、言葉は記録でも記憶でもなく、今その時そのものであるかのように、あっという間に駆け抜けていく。あの瞬間をもってして、自分自身が詩を書く人間なのだと思い知る。


考えてつくられたものは、考えたらわかる。考えずにつくられたものは、考えてもわからない。そりゃそうなのだけど、だからこそ、直感を研ぎ、考えずにつくり、面白がり、考え、直感を研ぎ、その繰り返しで創造力の階段を登っていけたらいいな。


写真に思い出を詰め込むのではなくて、写真そのものが誰かにとっての今になり、思い出になるのなら、それこそが写真家の仕業だと思う。


言葉に思い出を詰め込むのではなくて、言葉そのものが誰かにとっての今になり、思い出になるのなら、それこそが詩人の仕業だと思う。


思い出を詰め込む創作と、思い出になりうる創作。その二つを健やかな塩梅で、できたらいいなとつくづく思う。つくづく思うのだけれどねえ。


この一篇について

Q. 書いて、読んで思ったことは?

なるほど〜って思った

Q. この詩を曲にするなら?

曲にはならんだろ〜ははは

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