人生を映画に例えることの不完全さについて
ドラマのワンシーンみたいな雨が降っていた
人生とは映画だとかドラマだとか
自分が主人公だとか言われることがあるけれど
それなら今もまさに
この怠惰も呼吸も猫背も吐息もすべて配信中ということか
生活そのものを切って貼ってどこかで流して
売り物にすればするほど見せ物にすればするほど
私は作品の中の主人公に近づいていく
そうしてやがて
映画なのかドラマなのか
いずれにせよ誰かしらが見ている画面の向こう側で
こちら側で私は生きていることになるんだろう
けれどほとんどの誰もが実は
映画の主人公でもなければ
ドラマの演者でもなく
ただその毎日は画面には映らず大勢には届かず
自分自身とその周りの人たちの幸せと
大切でとても尊く
時に美しい光景のために注がれていく
いいやそもそも
映画の主人公だろうと
ドラマの演者であろうと
幕が下りればそこは画面の外枠の向こう側
画面には映らない生活がそこにある
あぁ人生を映画に例えることの不完全さに溜息が漏れる
雨は止み夜が来て
画面には映らないどこかで
静かに抱き合い眠りに落ちる
もしくは眠りが迎えに訪れるまで
音のない部屋で布団にくるまり
暖かい光と共に小説を読みふける
映画には収まらない
収まるはずのない尺の
豊かな時間達がそこにある
本日も落書きを読んでくださりありがとうございます。
トゥルーマン・ショーという映画は、そういう意味でも、名作なんだ。
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