一人ひとりが書き手であり
何をそんなに必死になって
画面に向かって読んでいるのさ
電車の中でパソコンに向かう人
小さな画面に夢中で見入って
乗り込んでくる人々などに見向きもせずに
一体どんな物語の中にあなたはいるのさ
扉の近くで立ち尽くす人
僕なんかより遥かに早く
大きな歩幅で歩いていって
一体どこの世界の果ての果てまで
その勢いで向かっているのか
道を人混みを駆けてく人
誰かにとっての僕はあなたは脇役で
一人ひとりが主人公なんて世界は
八方美人よろしく上手いこと見方を変えて
一人ひとりにいい顔しなけりゃ
いつまで経っても訪れないのがこの世の性
なんて
ひねくれたことを言ってる合間も
主人公たちは必死に夢中に足早に
社会の中を生きていく
物語を駆け抜けていく
そもそも
誰かが観る前提ではないのだから
主人公にせよ脇役にせよ
配役なんてものは無く
あらすじも起承転結だって
元より無い命だろうに
僕等の人生は
映画でもドラマでも劇でもなくて
僕があなたが今日も今日とて
作り続ける
吐き出し続ける唯一無二の物語
そんなことも簡単に
すぐさま忘れてしまえる世界の中
立ち止まったら閉じ籠もったら
たちまち忘れ去られる社会の中
それでも
僕はあなたは物語を紡ぎ続ける
今日食べたもの飲んだもの
見かけた景色
見入った映画
読み耽った漫画に小説
足早に向かった場所に
言葉を交わした彼に彼女
吸っては吐いた酸素に湿気
日差しに雨音
風が撫でた肌の心地
目覚め歯を磨いて顔を洗い
やがて出会った森羅万象
全てが紡ぐ唯一無二の物語
あなた
誰に観られずとも
誰からの拍手を期待せずとも
僕等は等しく一人ひとり
物語を綴り続ける書き手であり
読み手であり語り部だ
ならば少なくとも
自分自身が読むに足る
語らずにはいられない
満足できる物語を書きたいと願う
書いてほしいと願わずにはいられない
本日も落書きを読んで下さりありがとうございます。なるべく明るく楽しい世界を胸いっぱいに吸い込んで、明日も僕はあなたは世界に飛び込む。物語の先へと旅を続ける。
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