旅する時代についての散文
本当の優しさとは何なのかを考えた結果、黙り込んだり、厳しく当たったり、褒めなかったり、みたいなことが優しさとなることがあったりするのを、大人は知っている。
ここでは、大人とは、経験を経て客観性を獲得した人のことをいう。
経験がない、もしくは経験を経てはいるが客観的に物事を見たり、利他的な行動が取れない人は、ここでは大人とは呼ばない。
経験はないけれど客観性を獲得し、利他的な行動が当たり前に取れる人は、年齢にかかわらず大人と呼んでもいいのではないかとも、思う。
優しさによる行動が、人によっては褒めることであり、叱咤でもありうるという現実は、大人という言葉の存在意義を証明しているような気さえする。
自分自身にしても、大人だと自覚する時もあれば、どうしてこんなにも子供なのだろうかと思うことは、誰しもにある経験なんじゃないだろうか。
優しさとは、厳しさとは、愛し方にせよ守り方にせよ、未来永劫変わらないような言葉にまとまる定義のない言葉たちなのかもしれない。
そういう意味では、
誰かにとって、何かにとって、もしくは自分自身にとって、僕らは優しさにせよ愛し方にせよ、その度に考え、感じ、見つけ、自らの中に定義していくしかないわけで。
誰かにとっての優しさが、あなたにとっての優しさであったり、自分にとっての愛し方が、誰かにとっての愛し方と一致したり、愛され方と一致しているなんてこと、本当は滅多にないんじゃないだろうか。
どうすることが本当の優しさなのかを考えた末に、何事にも厳しいように見える偉大な大人が、きっと世の中にはたくさんいるんじゃないかと、ふと思う。自分だけの答えを見つけて、それを信じて悠然と立つ偉大な大人が、きっといるのだと思う。
自分にも固有の、誰かの愛し方、表現の仕方があるように、今まさに隣に座る誰かにも、画面越しに言葉を送る誰かにも、固有のそれがあるのだと思う。そう思いを馳せることなのだと思う。
時間は限られていて、だからこそ色んなものを早く、効率的に、理解したいしされたい世界の中で、それでもなるべく他人を尊重し、その人の言葉に、心に思いを馳せる気持ちを、持ち続けることの難しさと、だからこその尊さ。
そしてその心の変わらぬ美しさ。
子供の心の美しさが瞳に映る時があるように、大人の心の美しさも、どんな世界に進んでいくにせよ、瞳に映る自分でありたい。
本日も落書きを読んでくださりありがとうございます。答えのない混迷の時代なんかじゃないよと思うんです。世界のどこかに、もしくは誰かの中に自分の中に潜む答えを、自分で見つけにいく、旅する時代なのだと、思うんです。
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