僕らは巨人の肩に乗って書いている
短編小説の監修という仕事をしていて、毎月小説家さんが書いた作品を読んで、誤字脱字はもちろん、改行を増やしてみたり減らしてみたり、言い方を変えてみたり加えてみたりしています。
自分の文章で毎日やっていることを、もう少し真面目に、色んな視点を考慮しながらやっている、みたいな感覚なんですが、もちろん文章自体をどうしたらもっとよくなるかと考えるのも大変なんですが、それを作者にどう伝えたら気持ちよく、一緒により良い言葉たちにしていけるのかという方も、とても難しい、やりがいのあることだなぁと思っています。
僕だったら、自分の書いた作品に赤ペンが入れられるということ自体が既に、なかなかに「嫌だなぁ」と思っちゃいますもん。
文章に、言葉に正解など無い。
そういう前提に立ってしまえば、自分が書きたいように書いて、伝わる人に伝わればいいし、伝わらなかった人がいてもまぁそれはそれで仕方ないことだとも思えるわけで。
正解なんて誰も持っていないのに、「こっちの方がいい」とか「こうした方が伝わるんじゃないか」とか、言っても言われても、ほんとのところは読み手たちに届くまでわかんないじゃないですか。
じゃあ何を基準に、何を信じて、書けばいいのか、書き直していけばいいのか。
それはもう、身もふたもない話かもしれませんが、どれだけ読者としての良い経験をしてきたかと、どれだけ書き手としての良い経験をしてきたかなんじゃないかと思うんです。
素晴らしい読み手こそが、素晴らしい書き手になりうる。
心の底から素晴らしいと思える一篇を、どれだけ意識して書くことができるか。
どれだけ目の前の文章を読んで、伝えられるか。
いつの間にやら本当に、毎日毎日、言葉と向き合う日々の中です。
本日も落書きを読んで下さりありがとうございます。僕にとっての答えを生み出した偉大なる書き手たちにも、その答えを生み出すために必要とした答えがきっとあって、その作品を言葉を生み出した書き手もそりゃもちろんいるわけで、つまりは色んな学問と同じように、今を生きる書き手たちも、先人達の肩の上に乗り、書いてるんですよね。
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