終わらない物語
目覚めてすぐ、冷蔵庫へと向かう。
何かを飲むと身体が起きるのだと、いつかテレビで聞いた話を鵜呑みにしてからというもの、起きたらなるべく何か冷たいものを飲むようにしている。
最近はオレンジジュース。
果実の甘酸っぱさで身体というよりも目が覚めていくのがわかる。
机の前に座り、徐にパソコンを開く。
伸びた髪を頭の天辺あたりでまとめ上げる。
頼まれていた小さな仕事をいくつかこなして、立ち上がり、洗面所に向かう。
顔を洗い、歯を磨き、珈琲を淹れようかなと少し考える。
部屋に戻り、青空が広がる窓を見て、今日は雨は降らなそうだと知る。
また机に前に座り、今度は文章を書き始める。
比較的すぐ筆が止まり、気分転換に少し小説を読み進めようと鞄の中を漁る。
相変わらずの美しい色合いの表紙で踊る、主人公として描かれた黒髪の少女。
その目からこぼれ落ちるように描かれた、ガラスの破片のようなキラキラした色たちをじっと見つめ、その輪郭の一本一本を指でなぞる。
音はしない。誰の声も聞こえてこない。
ただ昨日夜遅くまで語り合っていた友の声がまだ頭の中に確かにある。
本を開く。
ページをめくる。
小説にせよ、僕にせよ、友にせよ、あなたにせよ、
時間と共に、物語は進んでいく。
その真実が、ページをめくる度に訪れる。
朝がいつの間にか終わり、身体は起き、飲み干したオレンジジュースはもうきっと何処かへいってしまった。日差しと共に鳥達がベランダで少し踊り、僕に気づいて飛んでいく。
本日も落書きを読んでくださりありがとうございます。
ページをめくり、6月へと物語は進んでいく。
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