セレンディピティ
ホステルをチェックアウト。一週間と一日、八泊したのだと思うとなんだか少し感慨深くもなる。
まず立地がよかった。ワイキキの中心地からは少し南に外れていて、程よくマイペースな店員さん達が働くカフェやハンバーガ屋も近くにあり、一度も「日本人ですか?」などと日本語で尋ねられることもなく、ある意味日本の世間の言うワイキキ、ハワイらしさみたいなものを感じること無く、アメリカやカナダ、イタリアやオーストラリアから来た人々の感じるハワイと似たような感覚で過ごせた気がしている。
ホステルでは四人部屋に滞在した。数日もいると、僕以外の滞在者がどんどん入れ替わっていくのが面白くもあり、切なくもあった。
夕方や夜、部屋に返ってくると大抵新しいルームメイトが居て、「ヘイ、アイムアンドリュー、ワッツユアネイム?」と握手、そして他愛無く楽しい会話が始まる。
世界中から一つの部屋に偶然集まり、会話し、眠り、起き、生きていく。それはとても不思議なことだと感じると共に、人生の縮図でもあるように思えて、何処か懐かしさと切なさ、愛おしさと尊さが混じった心地を今も僕に残してくれている。
本当は、これまで辿ってきた人生もそうであったはずで、日常も、本当は一期一会、偶然と自らの意思、出会った人々の意思、関わりを持った人々の意思が故に、出会い別れを繰り返し、その中で別れることなく続いた縁を、力むこと無く心に結んで、時々力み過ぎて破いたり、気付いたら解けて何処かへいってしまっていたり、あるいは時折結び直したりもして、生きてきたのが今ここに居る僕。そしてあなたなのだという当然。その当たり前を改めて今、理解し直すことが少しはできたのではないかと思えて、心が健やかになっていくのを感じている。
人並みに、いや恐らく少し多めに、今までも旅をしてきたけれど、人生とは何か、生きていくこととは何かについて、こうしてまた、凝りもせず旅から教わることがあり、思い出す事があるのを、とても嬉しいことだと思う。
偶然と、互いに積極性、互いが互いの人生に含まれた新しい未来を照らす、そんな明るさを持ち寄るからこそ、僕らは知らぬ誰かと仲良くなり、親しくなり、新しいまだ見ぬ笑顔に繋がっていく。
そんな当然の、平和な日常が故に忘れ去られてしまいがちな仕組みを、自然の営みを、改めて感じることのできた素晴らしい日々のこと。
こうして書き残すことのできる僕であれることを、守り関わり合える縁を結んだ人々がいることを、改めてとても嬉しく思う、晴れた空のワイキキより。きっとこれを読むだろう、少し先、未来の自分へ。そしてあなたへ。
本日も落書きを読んで下さりありがとうございます。人生という言葉に実感が湧かないのなら、旅に出ようと今の僕は勧めるよ。
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