詩人・自由丁オーナー小山将平が、未来の自分へ送るように、日々の気配を手紙に綴るように、詩的な言葉たちを日本語と英語にてお届けする連載「宛先は、わたし」。ポストカードに綴られた詩が届く郵便箱みたいな場所になったら。

夏の純吟

夏の純吟

夏、飲んだものと食べたもの、聴いたものと楽しんだもの。それらで今の私は秋へ向かいつつあるのだと思うとほんの少し、青く、澄んだ心身のような気がしてくる。


けれども実情は大いに異なり、年々悪くなっていく代謝と、運動を大してしないながらもかろうじて残った筋肉とガタイ。そこに加わった脂肪。それらを日々動かすこの魂、意志、惰性、あるいは宿命。そしてその心身を置く環境。人間社会。自然界。地球。宇宙。


こう改めて捉えてみると、とんでもない。これだけの数の何かに関与し、含まれた私自身だとか思ってしまうと、というか生まれたてほやほやのベイビーを除く人類みなそりゃそうだろうから、もうそれ全部混ぜたら黒以外の何色にもならなそうだ。なんてこった。


夏の夜に、とても綺麗な青を撮る写真家の友人と楽しく飲んだ日本酒のあの澄んだ味わいよ、申し訳ない。どうやらあなたは私の黒に注がれて跡形もないようです。


ただそう思うと尚一層、モノクロ写真のことを愛でたくなってくる。黒も黒で、豊かだ。


黒いペンで、何か書きたくなる。

黒い服を、格好良く着こなしたい。

黒髪がやっぱりいいかもしれない。


どうせみんな混ぜたら黒いのだ。と思えどしかし、もしかすると綺麗なオレンジ。鮮やかなブルー。そんな生き方をしてきた人もいるのかもしれないとふと思う。自分にとっての良し悪しをブラさず譲らず、濁ることなく生きてきた人。


そういう人と飲むならば、やっぱり澄んだお酒がよいだろうなぁ。


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