他のすべてを忘れ
過ごした数刻
言葉すら失った
ただ仰ぎ見た
しばらくして
ようやく使い慣れた身体に戻った私
恐らく
夢と現を曖昧にされたのです
やがて
静かに幕を下ろすのです
知っていながら
知っているから
無我夢中
その余韻にのぼせて帰り道
いつもより多めに水を飲み
深呼吸して味わいます
生命の確からしさ
脈打つ胸
耳に残る音色
脳裏をかける映像
触れることの叶わない時間
翌朝
記憶を描き直すように
繰り返すフレーズです
口ずさむメロディです
もうきっと
この街では二度と鳴らない
白鍵と黒鍵の話です...