帽子を被り競馬新聞を読む中年の人。よく見る当たり障りのない柄のスカートを履く社会人。チェック柄の半袖シャツを着て立つビジネスマン。
電車の中を眺めるだけで、多様だなと思う。別に誰のことを知っているわけでもなく、きっとみんな国籍は日本だろうし、同じようなテレビドラマやアニメや漫画の名前もいくつかはきっと知っているのだろう、そんな人々。
そうやって毎日なんとなく、色んな人がいるなと思い、生きている自分。色んな人のうちの一人の自分。
今日も何処かで誰かが生まれ、誰かが去り、誰かが涙し、誰かが誰かと恋に落ちる。
その数多の連なりの中、偶然近くに巡り合わせた人と人とで親しみ合う。語らう。支え合う。
そうやって人は今日まで生きてきたのだから、知らない人を知らないことに罪などなく、手の届く距離にいない誰かを救うことな...